ひょうたんとまり

それの発見はごくごく、普通の朝のことでした。
いつも立て膝を注意する、Cは早朝より釣りに出かけていて私にとっては穏やかな朝。
私はひとりでゆっくりと朝食のパンをほおばり、行儀の悪い、立て膝で床に新聞を広げ読もうという時だった。瞬間、左膝のお皿に感じるのはいつもと違う自分の胸の形状。「えっ!? 何?? 」。
思わず、声が出てその感触を疑った。お世辞にも形がいいとはいえない胸だけど、その時は明らかな違和感があり、長年付き合ってきた自分のものとは違うと思った。
おそるおそる、服の上から触ってみる。左胸の中心よりやや左、外側に大きなひょうたん形のうねりがある。こんなものが出来た覚えがない。
もし転んでできたものならアザにでもなっているだろう。
ちょっと信じられない、気持ちで服を脱ぎアザのないことを確認しつつ、今度は丹念に触れてみる。硬くて動かないそれはやっぱり、ひょうたんの形をしている。
一瞬、頭の中を「腫瘍」の2文字がかすめた。 右は?右の胸はどうよ??
動転しながらも確認する右胸は左ほどのサイズではないが、やはり中心よりやや外側にごろごろした球形のものに触れた。こちらはまりか? すぐにでもひょうたんと小まりの真意を明らかにしたいところだが本日、日曜で病院はやっていない。どうせ、たいしたことないんだから明日でいいや。
日中、仕事の途中に義理姉に見せると、私が思ってる以上に心配してくれる。
何もないといいのだけど、と。・・・しかし、悪い腫瘍とは自分では考えていない・・・というか考えたくない。
夜、うきうきで釣果を発表するCに今朝のことを話すといきなり、叱られた。
なんで、こんなに大きく(推定4cm程度)なるまで、気づかずに放置したのか!って。
そういわれてもねぇ、当の本人も今朝、初めて気づいたんだからさ。
とにかく、明日の午前中は大きな隣市の病院に行くことを約束して就寝する。